波立(読み)なみだつ

精選版 日本国語大辞典 「波立」の意味・読み・例文・類語

なみ‐だ・つ【波立】

〘自タ五(四)〙
① 波が起こる。波が高くなる。〔書陵部本名義抄(1081頃)〕
※妙好人伝(1842‐52)二「陸(くが)にて死ぬるも一生、海にて終るも業感。今生は夢の世なり。倒瀾(ナミダツ)中にて今命終らば」
② 波のように起伏する。衣服皮膚などが波をうつ。しわが寄る。
浮世草子・好色一代男(1682)六「こころよく夢ひとつ二つ見しうちに、御舟額に浪立、眼をひらき声あらく」
③ 胸がどきどきする。心がさわぐ。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「『若しまた無礼を加へたら、モウその時は破れかぶれ』ト思へば荐りに胸が浪だつ」

なみ‐だち【波立】

〘名〙
① 波が起こること。
飢餓海峡(1963)〈水上勉〉二五「航跡に起きる夜光虫のような銀色の波立ちが」
② 物が波状になること。
芽むしり仔撃ち(1958)〈大江健三郎〉七「羽毛なか栗色の波だちのある美しい背の小鳥二羽
③ 騒がしく、落ち着かない状態になること。争いが起こったり、静かな心に不安などの感情が起こったりすること。
※桜の森の満開の下(1947)〈坂口安吾〉「胸の不安の波立ちをさして気にせずに」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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