泣く子なす(読み)ナクコナス

デジタル大辞泉 「泣く子なす」の意味・読み・例文・類語

なくこ‐なす【泣く子なす】

[枕]乳を探り求めて泣く子のように、または、人込みにはぐれた親を求めて泣く子のように、の意から、「さぐり」に掛かる。
里人の行きの集ひに―行き取り探り」〈・三三〇二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「泣く子なす」の意味・読み・例文・類語

なくこ‐なす【泣子なす】

  1. 泣いている子どものように、の意で次の諸語にかかる。
  2. 「慕(した)ふ」にかかる。
    1. [初出の実例]「つれもなき 佐保の山辺に 哭児成(なくこなす) 慕ひ来まして」(出典:万葉集(8C後)三・四六〇)
  3. 「ねのみし泣く」にかかる。
    1. [初出の実例]「玉の浦に 船をとどめて 浜びより 浦磯を見つつ 奈久古奈須(ナクコナス) ねのみし泣かゆ」(出典:万葉集(8C後)一五・三六二七)
  4. 「言(こと)だに問はず」にかかる。
    1. [初出の実例]「思ほしき 言伝てむやと 家問へば 家をも告らず 名を問へど 名だにも告らず 哭児如(なくこなす) 言だに問はず」(出典:万葉集(8C後)一三・三三三六)
  5. 「取り探る」にかかる。
    1. [初出の実例]「深海松(ふかみる)の 深めし子らを 縄海苔の 引けば絶ゆとや 里人の 行きのつどひに 鳴児成(なくこなす)(ゆき)取りさぐり」(出典:万葉集(8C後)一三・三三〇二)

泣く子なすの補助注記

比喩の副詞句として、枕詞とはみない説もある。

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