浄瑠璃素人講釈(読み)じょうるりしろうとこうしゃく

改訂新版 世界大百科事典 「浄瑠璃素人講釈」の意味・わかりやすい解説

浄瑠璃素人講釈 (じょうるりしろうとこうしゃく)

義太夫節の芸論書。杉山茂丸其日庵)著。1926年刊。1冊。政界黒幕と目された杉山茂丸は義太夫節を熱愛した。竹本摂津大掾,3世竹本大隅太夫,絃阿弥から聞いた話をもとに,義太夫芸の伝承,とくに〈風(ふう)〉の追求を通じ,古典芸術としての地位を確立せしめようとした。全部で84段の浄瑠璃ごとに,風にふれつつ,逸話や実際の語り方を述べるうちに,義太夫の芸の本質を明らかにした。誤りも少なくないが,文楽の太夫や三味線,研究家などに絶大な影響をあたえた。はじめ杉山茂丸が主宰する政経月刊誌《黒白》に連載されたのを1冊にまとめて出版したもの。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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