国指定史跡ガイド 「浜尻屋貝塚」の解説
はましりやかいづか【浜尻屋貝塚】
青森県下北郡東通村尻屋にある中世の貝塚遺跡。下北半島東北端部に立地し、14世紀前半から15世紀末まで存続したと見られる。貝塚は14ヵ所あり、殻の長さが6cm前後の大きさの揃ったアワビの貝殻などが大量に出土した。また、約500~700年前の地層から、ほぼ完全な形をした人骨も出土した。2006年(平成18)に国指定史跡となった。貝塚の後背部にある平坦な盛り土整地層に多数の掘立柱建物が発見され、井戸や竈状遺構もあった。これらは漁獲物の加工施設と見られている。大量のアワビの貝殻と加工施設の存在から、保存食材として珍重され広く交易されていた干しアワビを生産していたと考えられ、中世における海産物加工の実態を示す遺跡として重要である。JR大湊線下北駅から下北交通バス「尻屋小学校前」下車、徒歩約10分。