知恵蔵 「淘宝網」の解説
淘宝網
10年7月末には登録ユーザー数が2億人を超え、中国EC市場の約80%を占める。
淘宝網はヤフーオークションと同じCtoCサイトだが、一般的なオークションサイトとはいくつか異なる点がある。一つは直接的な売買を行わず、「支付宝(アリペイ Alipay)」と呼ばれる仮想口座システムを利用する点。このシステムでは、買い手が商品代金をいったん支付宝に預け、商品に問題があった場合は、返品後に支付宝から代金が返還される。中国では、クレジットカードのオンライン決済が敬遠されがちなため、売買取引の安全性を提供する支付宝の仕組みが淘宝網利用の拡大につながったと言える。もう一つは、主にチャットツール「阿里旺旺(アリワンワン)」によって、リアルタイムに商品に対する問い合わせや値引き交渉などが可能な点だ。
このようなシステムの導入により、淘宝網は中国人消費者の購買心理や慣習をつかみ、設立後わずか数年で急成長を遂げた。10年6月にはYahoo Japanが運営する「Yahoo!ショッピング」が淘宝網と接続し、淘宝網で販売されている約5千万点の商品を、通常のYahoo!ショッピングとほぼ同じ手続きで購入できる「Yahoo!チャイナモール」をオープンさせた。
他にもTaobao社は、BtoCサイトのタオバオモール(淘宝商城)を立ち上げており、こちらにはユニクロやワコールなどの日本企業が出店している。ちなみに淘宝網や淘宝商城の競合相手には、中国発の検索サービス「百度(Baidu)」が運営するCtoCサイト「有口阿」や、同社が楽天社と10年10月にオープンさせた出店料無料のBtoCショッピングモール「楽酷天」がある。
(横田一輝 ICTディレクター / 2010年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報