日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレジットカード」の意味・わかりやすい解説
クレジットカード
くれじっとかーど
credit card
カード保有者が、加盟店から提供された商品・サービスの対価を、取引後の一定の期日に支払う、代金延払いの決済手段。将来確実に金銭が支払われる見込みのことを信用といい、保有者に信用が与えられている(与信されている)ことで成り立っている。代金が前払いではないのでプリペイドカードとは異なり、即時決済でもないのでデビットカードとも異なる。
クレジットカードはカード会社、保有者、加盟店の3者関係で成り立っているのが基本である。保有者が加盟店から商品・サービスの提供を受け、その際、クレジットカードを提示して端末装置に読み取らせ暗証番号を入力し、売上票にサインをする。そして、加盟店は売上データをカード会社に伝送し、カード会社は加盟店に代金を支払う。その後、カード会社は保有者に代金明細書を送付し、保有者は代金の支払いを行い、決済が完了する。
クレジットカードの魅力は、手数料の安さや特典の豊富さといったカード発行の側面だけではなく、国内外を問わず利用できる加盟店の多さも決め手となる。それぞれの魅力を同時に高めるには、一つの会社だけで行うには限界がある。そこで、カード発行業務と加盟店管理業務とを分割するほうが一般的である。カード発行、保有者への求償等を行う会社をイシュアissuerといい、加盟店の開拓、加盟店への立替え払い等を行う会社をアクワイアラacquirerという。この、保有者、イシュア、アクワイアラ、加盟店の4者間取引の場合のカード決済は、国内取引と国際取引とでは異なる。国内取引では、加盟店からアクワイアラへ売上データが伝送され、それがイシュアに届いて請求がなされる。アクワイアラとイシュア間の決済は銀行間決済システムを用いてなされる。これに対して国際取引では、Visa(ビザ)やMasterCard(マスターカード)などの国際ブランドカード会社がイシュアとアクワイアラとを結び、売上データのやりとり、代金の決済を行っている。なお、前述のイシュアとアクワイアラ業務を1社で行う場合をオンアス取引という。
保有者が会社に支払いを行う方法として、翌月一括払い(マンスリークリア)、ボーナス一括払い、分割払い、リボルビング払い等がある。リボルビング払いとは、利用限度額の範囲内で、月々の支払額を一定の金額にあるいは残高に対する一定の割合に設定しておき、その設定金額を毎月支払っていく方法である。取引から決済までの期間が2か月以上の場合またはリボルビングによる場合には、「包括信用購入あっせん」として、割賦販売法の適用を受ける。現実的には、翌月一括払いを除くすべての場合が割賦販売法の適用に該当する。
[武田典浩 2020年4月17日]
『根田正樹・大久保拓也編『支払決済の法としくみ』(2012・学陽書房)』▽『松本恒雄・齋藤雅弘・町村泰貴編『電子商取引法』(2013・勁草書房)』▽『小塚荘一郎・森田果著『支払決済法――手形小切手から電子マネーまで』第3版(2018・商事法務)』▽『阿部高明著『クレジットカード事件対応の実務――仕組みから法律、紛争対応まで』(2018・民事法研究会)』