日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワコール」の意味・わかりやすい解説
ワコール(株)
わこーる
婦人下着のトップメーカー。1946年(昭和21)塚本幸一(1920―98)が京都で創業した婦人洋装装身具卸の和江商事が始まり。1949年にブラジャーの中につける「ブラパット」を発売して好評を博し、株式会社和江商事を設立。委託縫製工場を合併し、デパートに納入しながら、製造卸売業の土台を固めていった。1953年に商標をワコールとし、57年社名もワコールに改め、ファンデーションとランジェリーの専門メーカーとなり、ワコール販売も設立した。本格的な下着ブームが訪れた1960年代には、製造品目の増加に伴い、静岡にワコール縫製を設立、京都にも本社工場を設置した。1970年に韓国、台湾、タイに合弁会社を設立、海外市場開拓を開始した。1985年にワコール・アメリカが活動を始め、90年(平成2)にはワコール・フランスが設立され、同社の海外戦略は、アジア、アメリカ、ヨーロッパにわたり、拠点も11か国21社に達した。1978年に京都服飾文化研究財団を設立し、また各種スポーツ活動を後援するなど、文化活動にも力を入れている。2005年10月に持株会社体制に移行し、ワコールホールディングスと社名変更、新たに完全子会社のワコールを設立した。ワコールホールディングスの資本金133億円(2008)、売上高1658億円(2008。連結ベース)。
[中村青志]
『ワコール社長室社史編纂事務局編『ワコール50年史』4冊(1999・ワコール)』