混合型肝癌

内科学 第10版 「混合型肝癌」の解説

混合型肝癌(肝腫瘍)

定義・概念
 単一腫瘍内に肝細胞癌肝内胆管癌とが明瞭に分化した状態で両成分が混じり合っているものを混合型肝癌と定義する.肝細胞癌成分は通常の肝細胞癌成分であるが,肝内胆管癌成分は腺癌であり粘液産生を伴う.近年,これらは肝前駆細胞(hepatic progenitor cell)あるいは肝幹細胞(hepatic stem cell)由来の可能性も指摘されるようになってきた.
診断
 画像診断にて,典型的肝細胞癌と肝内胆管癌が混在して見られる所見を呈せば本疾患を疑える(図9-12-11).また,肝細胞癌の腫瘍マーカー(AFP,PIVKA-Ⅱ,AFP-L3)と肝内胆管癌の腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)がともに陽性になることも本疾患を示唆する.最終的には生検切除標本組織像で両成分を証明することにより確定診断とされる.
治療
 肝内胆管癌の治療に準ずる.基本的には切除が最も有効である.小結節であればラジオ波治療も適応となるが,TACEや動注療法は効果がなく一般的でない.
経過・予後
 基本的に予後は不良である.日本肝癌研究会の追跡調査報告によれば5年生存率は20.3%と肝内胆管癌の20.9%と似かよった成績である.[工藤正俊]
■文献
Kojiro M, Wanless IR, et al: The International Consensus Group for Hepatocellular Neoplasia:Pathologic diagnosis of early hepatocellular carcinoma: a report of the international consensus group for hepatocellular neoplasia. Hepatology, 49: 658-664, 2009.
Makuuchi M, Kokudo N, et al: Development of evidence-based clinical guidelines for the diagnosis and treatment of hepatocellular carcinoma in Japan. Hepatol Res, 38: 37-51, 2008.
Kudo M, Izumi N, et al: Management of hepatocellular carcinoma in Japan: Consensus-Based Clinical Practice Guidelines proposed by the Japan Society of Hepatology (JSH) 2010 updated version. Digest Dis, 29: 339-364, 2011.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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