最新 地学事典 「湖沼堆積物」の解説
こしょうたいせきぶつ
湖沼堆積物
lacustrine deposit ,lake deposit
湖や沼の堆積物。湖沼成層とほぼ同義。湖沼堆積物の性格は,降水量と蒸発量,風化の性格,流域の土壌,植生などを決定する気候によって異なる。化学的湖沼堆積物と砕屑性湖沼堆積物に大別される。化学的湖沼堆積物は乾燥域に多く,砕屑性湖沼堆積物は乾燥域を含むあらゆる地域にみられる。砕屑性湖沼堆積物の分布は,水理エネルギーの減衰とともに,湖岸から沖合へ,礫質・砂質・泥質と変化するが,規模の小さい日本の湖沼では,波浪の発達が悪いため,砂礫質堆積物の分布域は一般に泥質堆積物の分布域に比べて非常に狭い。泥質堆積物にはしばしば地震起原のタービダイトや洪水堆積物による砂質堆積物が挟まれる。湖底堆積物はその組成から沿岸部に堆積している無機成分を主とするものと,深底部に堆積している有機成分を多く含むものに大別される。前者には平地の湖や丘陵地の人工湖に多い粘土堆積物,CaCO3を多量に含む石灰堆積物,主に石英砂からなる珪酸堆積物,水酸化鉄が貝殻や植物組織などを核としてつくった沼鉄鉱,リン酸を多く含むらん鉄鉱などの鉄堆積物が含まれる。後者には湖沼内で生産されたプランクトンの残骸を主とするユッチャと,周囲の泥炭地から流入した腐食質からなる腐食泥がある。骸泥と組成はほぼ同じであるが,深層の溶存酸素が消失する湖,特に汽水湖においては多量の硫化物を含む黒色の腐泥が形成される。
執筆者:西条 八束・井内 美郎
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

