日本大百科全書(ニッポニカ) 「雨期」の意味・わかりやすい解説
雨期
うき
ある地域でおよそ1か月以上にわたって雨量の多くなる期間をいう。低緯度地方では1年間の季節は雨期と、この反対の乾期とに分けられる。季節風地帯、たとえば東南アジアの大部分では南西季節風(モンスーン)の吹く夏が雨期にあたり、地中海方面では冬の間が雨期にあたる。モンスーンを、季節風ではなく、雨期またはその時期に降る雨という意味で使うことも多い。赤道付近では、太陽高度がもっとも高くなるとき雨期になるが、そのようなことは年2回あるので、雨期は1年に2回あることになる。
熱帯地方では乾期と雨期に分けたとき、乾期の雨量は全年の数%にしかすぎない。しかし、亜熱帯地方では乾期でも年降水量の30~40%も雨が降るので、雨期としての雨量の集中度が小さくなる。そのため、学者のなかには、集中度の大きい熱帯地方における場合を雨季(rainy season)、温帯における場合を雨期(rainy periodまたはrainy spell)として区別する人もいる。
日本の雨期
日本の雨期は、(1)6~7月の梅雨(ばいう)期、(2)9~10月の秋雨(あきさめ)期、(3)冬の日本海側の季節風降雪期、の三つがおもなものとしてあげられる。このほかに、(4)3~4月ころの春雨(はるさめ)期、(5)11~12月ころの時雨(しぐれ)期、があるが、これらは降雨回数は多くても、雨量としては少ない雨期である。地域的には、西日本では(1)の梅雨期が一年中でもっとも大きく、東日本では(2)の秋雨期が一年中の極大となる。
[根本順吉・青木 孝]