改訂新版 世界大百科事典 「溶剤精製」の意味・わかりやすい解説
溶剤精製 (ようざいせいせい)
solvent refining
溶剤を用いて対象物を処理し,不純物などの好ましくない成分を分離し,望ましい組成,性状の製品を生産する方法。石油精製工程においては,潤滑油の生産の分野で用いられている。その一つであるプロパン脱歴法は,原油の減圧蒸留の残油を原料として,加圧下で液体のプロパンを用いて処理し,残油中のアスファルト質や樹脂状物質を除去し,良質の潤滑油原料を生産する目的で行われる。他はフルフラール法であって,減圧蒸留残油をフルフラールを用いて処理し,残油中の芳香族成分を抽出,除去することにより,粘度指数の高い(すなわち粘度が温度によってあまり変化しない),色相および安定性の優れた潤滑油原料を生産する目的で行われる。同様の目的でフェノール法がある。そのほか,石油化学工業では接触改質油中に含まれるベンゼン,トルエン,キシレンなどを抽出,精製するスルホラン法(抽出溶剤としてスルホラン(CH2)4SO2を用いる)などがある。
執筆者:冨永 博夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報