フルフラール(読み)ふるふらーる(英語表記)furfural

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フルフラール」の意味・わかりやすい解説

フルフラール
ふるふらーる
furfural

複素環式アルデヒドの一つ。2-フランカルバルデヒド、α(アルファ)-フルアルデヒドなどともよばれる。フーゼル油をはじめ、いくつかの精油中に含まれている。

 ペントース脱水により生成し、工業的にはトウモロコシの穂軸、エンバク籾殻(もみがら)を、希硫酸と加熱しながら蒸留するなどの方法により得ている。特異なにおいをもつ無色油状の液体。水に溶け、エタノールエチルアルコール)、エーテルとも任意の割合で混じり合う。空気中に放置すると、酸化されて黄褐色の樹脂状物質になる。工業的にはフェノール・フラン樹脂の原料石油化学用溶剤テトラヒドロフランなどの原料、殺虫剤などに用いられる。急性毒性としては酔い・頭痛などの症状があり、慢性毒性としては肝臓障害・変異原性が報告されている。

[廣田 穰 2015年7月21日]


フルフラール(データノート)
ふるふらーるでーたのーと

フルフラール

 分子式 C5H4O2
 分子量 96.1
 融点  -38.7℃
 沸点  161.7℃
 比重  1.1563(測定温度25℃)
 屈折率 (n)1.5261

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フルフラール」の意味・わかりやすい解説

フルフラール
furfural

2-フリルアルデヒドのこと。ある種の精油中に含まれているペントースを脱水して得られる。工業的にはペントサンを含む植物体,たとえば麦わらなどを加圧下で水蒸気を作用させたり,希硫酸または希塩酸と処理することによって得られる。6,6-ナイロン製造原料,フェノールフラン樹脂の原料,殺虫剤,抗カビ剤,抗菌剤などの製造原料,石油の脱硫溶剤,その他諸目的の溶剤として用いられる。特異臭のある無色の油状液体。アルデヒド基をもち,長時間放置すると酸化されて黄褐色から黒褐色となる。沸点 162℃。水,アルコールによく溶ける。大量に吸入すると頭痛を起し,中枢神経に作用するので,取扱いには注意を要する。

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