減圧下における蒸留.常圧蒸留で沸点まで加熱すると分解したり,不純物の熱分解で無色であるはずの留液が無色にならない場合,あるいは減圧下では不純物との沸点差が大きくなり精製が容易になる場合には,減圧蒸留が利用される.減圧蒸留装置を図に例示した.アスピレーターまたは真空ポンプを用いて減圧にしてマノメーター(圧力計)で減圧度を知る.蒸気の移動を助け,突沸を防ぐために毛管を入れておくのが普通である.
通常,3.3 kPa まで圧力を下げると,沸点は100~130 ℃ 降下し,圧力をさらに半分下げるごとに,沸点は約10 ℃ ずつ降下するといわれているが,簡便な減圧下の沸点換算表を利用すれば,沸点を予知することができる.
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大気圧以下の低い圧力の下で沸点を低下させて行う蒸留操作。真空蒸留ともよばれたが、これはあまり好ましくない。常圧下の蒸留では、沸点付近で分解、その他の化学変化をおこすおそれがある場合に行われる。実験室的には真空ポンプや拡散ポンプを用い、水銀柱0.001~1ミリメートル程度の減圧が使われる。工業的には石油精製における減圧蒸留が代表的で、石油は約450℃以上で熱分解をおこすため、沸点の高い潤滑油留分の精留や、常圧蒸留残油から接触分解原料油、間接脱硫原料油の分取などに広く適用される。工業的操作の真空の発生には、おもにスチームエジェクターとサーフェスコンデンサーまたはバロメトリックコンデンサーを組み合わせた装置(スチームの急冷凝縮による減圧発生を利用する)が使われ、水銀柱10ミリメートル以下の減圧が使われることが多い。
[原 伸宜]
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…材質としては実験室用にはガラスが用いられ,工業的には主としてステンレス鋼が用いられるが,特別に腐食性の強い物質を取り扱う場合には,その他の材質たとえばガラスが用いられる。 操作圧力としては高圧蒸留(普通は数十気圧まで),常圧蒸留および減圧蒸留があり,減圧蒸留はさらに200mmHg程度までの減圧蒸留,1mmHg程度までの真空蒸留と10-1mmHg以下の分子蒸留とに分けられる。真空蒸留分子蒸留
[特殊な蒸留]
石油は非常に多数の成分からなる混合物であるが,まずはじめに常圧蒸留塔に供給し,塔頂からはガスを,塔底からは重質残渣油を取り出し,塔の中間では上のほうから順にナフサ,灯油,軽油などを抜き出して製品を得ている。…
…温度が高くなると分解したり重合したりする物質を蒸留する際に用いられる蒸留法。一般に200mmHg以下の圧力で行う蒸留をいい,200mmHg以上の場合には減圧蒸留distillation under reduced pressureと呼んでいる。以前は一般に真空蒸留は単蒸留形式の回分蒸留が行われることが多かったが,最近では化学工業のファインケミカル化に伴って高度の精製分離が望まれることが多くなり,蒸留塔形式の連続蒸留が行われることが多くなってきている。…
※「減圧蒸留」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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