朝日日本歴史人物事典 「滝口入道時頼」の解説
滝口入道時頼
平安末期の武士,のちに高野聖。従来,左衛門太夫斎藤茂頼の子とするが,『尊卑分脈』によるなら以頼の子。平重盛に家臣として仕えていたころ,建礼門院雑仕横笛に恋するが,父の反対に遭い嵯峨往生院(『吉記』養和1〈1181〉年11月20日条では法輪寺とする)にて出家,そこで横笛の訪れを受けてさらに高野山へ上り,修行して聖となる。のち都落ちした重盛の子の維盛とその郎等ふたりの出家を手伝い,恩愛に迷う維盛に善知識を授けてその入水往生を見届けた。維盛の子の六代も出家後,滝口入道の許へ父の臨終の様子を尋ねに訪れており(以上『平家物語』),小松一門と入道との密接な関係が伝えられている。
(小川寿子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報