横笛(読み)よこぶえ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

横笛
よこぶえ

単にとも呼ばれる。日本の伝統的な管楽器雅楽や日本古来の祭式歌舞などに使用される神楽笛竜笛 (りゅうてき) ,高麗笛 (こまぶえ) ,能楽長唄などに使用される能管,長唄や種々の民俗芸能などに用いられる篠笛の5種がある。

横笛
よこぶえ

能の曲名。『平家物語』の滝口入道と横笛の悲恋物語を取上げた能。現行曲にはないが,廃曲に何種かある。『滝口』『滝口横笛』『鵆 (ちどり) ヶ淵』とも呼ばれる曲では,滝口をワキ,横笛をシテとする劇能としている。ほかに『幽霊横笛』ともいう曲や,乱拍子をもつ別曲もある。御伽草子にも,『横笛草紙』がある。また高山樗牛の『滝口入道』にも描かれる。長唄に同名の曲が2つある。

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デジタル大辞泉の解説

おう‐てき〔ワウ‐〕【横笛】

よこぶえ。
雅楽に用いる笛の一。竜笛(りゅうてき)。「王敵」に音が通じるとして「ようじょう」と読むことが多い。

よう‐じょう〔ヤウヂヤウ〕【笛】

《歴史的仮名遣いは「やうでう」とも。「横笛(おうてき)」が「王敵」に音が通じるとして読み替えたもの》「よこぶえ」に同じ。
「腰より―抜き出だし、ちっと鳴らいて」〈平家・六〉

よこ‐ぶえ【横笛】

管を横に構えて吹く笛の総称。日本では、神楽笛竜笛(りゅうてき)高麗笛(こまぶえ)篠笛(しのぶえ)能管などをいう。おうてき。ようじょう。→縦笛

よこぶえ【横笛】[人名・書名]

平家物語に登場する女性。建礼門院雑仕(ぞうし)。平重盛の臣斎藤時頼滝口入道)に愛され、出家した時頼のあとを追って尼となった。
源氏物語第37巻の巻名。光源氏49歳。柏木一周忌と、柏木遺愛の横笛を夕霧から預かった源氏の複雑な心情などを描く。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

横笛 よこぶえ

?-? 平安時代後期の女官。
建礼門院の侍女。平重盛の家臣斎藤時頼(滝口入道)との恋愛が時頼の父にみとめられず,出家した時頼を追う。「源平盛衰記」では時頼に拒絶されて大堰(おおい)川に投身したとする。「平家物語」でも諸本によりその最期はいろいろにつたえられている。

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朝日日本歴史人物事典の解説

横笛

生年:生没年不詳
『平家物語』巻10に登場する建礼門院の雑仕。恋人斎藤滝口時頼との仲を身分の低さ故に時頼の父に認められず,先に出家した時頼を追う。横笛の最期については『平家物語』諸本によって異なり,様々な伝承のあったこと,高野聖の活動との関係が想定されている。

(櫻井陽子)

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音楽用語ダスの解説

横笛

最も代表的な横笛は、雅楽の唐楽で用いられる竜笛である。全長は約40cmで、竹製、歌口と7つの指孔がついている。上3孔を左手の人差指、中指、薬指で、下4孔を右手の親指以外の4本で押さえる。“フクラ(和)”は息を柔らかく吹き入れて低い音域の音を出すことで、“セメ(責)”は息を細く強く吹き込んで、フクラのオクターブ上の音を出すことである。旋律には細かい装飾音が多く、オクターブの跳躍進行も織りまぜるために様々な技法がある。

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションの解説

よこぶえ【横笛】

長野の日本酒。酒名は、平家物語における斎藤時頼と建礼門院官女・横笛との悲恋物語にちなんで命名。精米歩合39%で仕込む大吟醸酒深水」をはじめ、純米酒本醸造酒、普通酒などをそろえる。原料米は山田錦美山錦、ヨネシロ。仕込み水は霧ヶ峰高原伏流水蔵元の「伊東酒造」は昭和33年(1958)創業。所在地は諏訪市諏訪。

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世界大百科事典 第2版の解説

おうてき【横笛】

(1)雅楽の楽器名。竜笛(りゆうてき)ともいい,その項目を参照されたい。(2)歌舞伎陰囃子(かげばやし)の曲名。能管のみで奏する曲。雅楽の横笛の音色を模した曲で,公家・大名等の邸宅で,死に別れをする役などがしみじみと述懐する場面に用いる。(ゆか)のめりやすと併奏することが多い。【横道 万里雄】

よこぶえ【横笛】

平曲・能・長唄の曲名。(1)平曲。平物(ひらもの)。フシ物。平維盛(これもり)は,都の妻子が気がかりでひそかに屋島の戦線を離れ,高野山に滝口入道(滝口・横笛)を訪ねた。この僧はもと館に仕えた武士で,若いころ横笛という女と恋をした。滝口の父親は出世のためにもっと身分の高い女と結婚しろと意見をする。滝口は,人生はせいぜい七,八十年,そのうち盛りは二十年ほどだから,いやな女と添うことはできないが,好きな女と添うのでは父の意志に背くことになると考えて,剃髪してしまった(〈折リ声・サシ声・中音(ちゆうおん)〉)。

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大辞林 第三版の解説

おうてき【横笛】

よこぶえ。 → ようじょう(横笛)

ようじょう【横笛】

〔歴史的仮名遣いは「やうでう」とも。「横笛」の字音「おうてき」が「王敵」に通じるのを忌んで読みかえたものという〕
よこぶえ。おうてき。

よこぶえ【横笛】

管を横に構えて吹く笛。日本では、神楽笛かぐらぶえ・竜笛りゆうてき・高麗笛こまぶえ・能管のうかん・篠笛しのぶえなどの総称としていう。おうてき。ようじょう。 ⇔ 縦笛

よこぶえ【横笛】

○ 平家物語に登場する女性。建礼門院の侍女。平重盛の臣斎藤時頼(滝口入道)に愛され、その出家後、嵯峨往生院に入道を訪れるが修行のさまたげと会うことを拒まれ、のちに尼となった。
を題材とした楽曲の総称。平曲・能(廃曲)・長唄などにある。
源氏物語の巻名。第三七帖。

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精選版 日本国語大辞典の解説

おう‐じゃく ワウヂャク【横笛】

〘名〙 =おうてき(横笛)色葉字類抄(1177‐81)〕

おう‐てき ワウ‥【横笛】

〘名〙 雅楽の唐楽に用いる笛の一種。一名、龍笛(りゅうてき)。首端を横にして吹く笛で、長さ一尺三寸二分八厘(約四〇センチメートル)。催馬楽、朗詠などの伴奏楽器としても用いられる。おうじゃく。→ようじょうよこぶえ。〔色葉字類抄(1177‐81)〕〔李益‐従軍北征詩〕
[語誌](1)「随筆・綿所談‐二」にはワウテキは「王敵」に通じるので避けられたとの説もあり、「横笛」の音読みに変化形が多い。
(2)平安末期の「更級日記」(鎌倉時代の定家写本)には「ゐやう定(ぢゃう)」の例がある。「伊呂波字類抄」(室町時代初期写)にも「ヰャウチャウ」の読みがある。院政期の「色葉字類抄」には和訓「ヨコフエ」のほか、字音語として「クヮウチ(ャ)ク」「ワウチャク」「クヮウテキ」「ワウテキ」の四種の読みが見える。

よう‐じょう ヤウヂャウ【横笛】

〘名〙 (歴史的かなづかいは「やうでう」とも。「横笛」の字音「おうてき」が「王敵」に通じるのを忌んで読みかえたものという) =おうてき(横笛)
更級日記(1059頃)「箏のことかきならされたる、ゐやう定の吹きすまされたるは」

よこ‐ぶえ【横笛】

[1] 〘名〙
① 横にかまえて吹く笛の総称。〔名語記(1275)〕
② 特に、雅楽の唐楽に用いる笛の一種。首端を横にして吹くもので、歌口のほかに七孔あり、長さ一尺三寸二分八厘(約四〇センチメートル)。催馬楽朗詠などの伴奏楽器としても用いる。龍笛(りゅうてき)。おうてき。〔十巻本和名抄(934頃)〕
[2]
[一] 「源氏物語」第三七帖の名。光源氏四九歳の二月から秋まで。親友柏木の死後、柏木の北方落葉宮とその母一条御息所を見舞った夕霧が、御息所から柏木遺愛の横笛を贈られることを中心に、柏木没後の模様を描く。
[二] 平家物語に登場する女性。建礼門院に仕え、平重盛の臣斎藤時頼(滝口入道)に愛されたが、時頼が出家したため後を追い尼となる。
[三] 邦楽の曲名。(二)(二)の悲恋物語を題材としたもの。
(1)長唄。明治二〇年(一八八七)頃、三世杵屋正治郎作曲。三宅花圃作詞。
(2)長唄。明治二七年(一八九四)三世杵屋六四郎(後名二世稀音家浄観)作曲。作詞は菊園主人。研精会派の曲。

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世界大百科事典内の横笛の言及

【笛】より

…〈ふきえ(吹柄,吹枝)〉の意から生じたともいわれる古来の言葉で,元来は吹いて鳴らす楽器一般を指し,吹奏楽器とか管楽器など近代の用語とも範囲がほぼ重なる。しかし日本では,それらのなかでもいわゆる横笛の類が多用され,とくに親しまれてきたため,笛といえば横笛のことという観念もまた強い。 横笛とは竜笛(りゆうてき),能管篠笛等々を指す俗称で,演奏時の構えに由来する呼び方であるが,原理的・構造的にも共通性があり,和楽器以外(たとえば洋楽のフルート)にも適用が可能である。…

【竜笛】より

…竹製の横笛の一種。横笛(おうてき)ともいってこれを〈やうでう(ようじょう)〉と読むことがあり,竜吟,竜鳴とも呼ばれた。…

※「横笛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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