漆漉し(読み)ウルシコシ

デジタル大辞泉 「漆漉し」の意味・読み・例文・類語

うるし‐こし【漆×漉し】

漆を精製するとき、こすのに用いる和紙吉野紙をいう。うるしこしがみ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「漆漉し」の意味・わかりやすい解説

漆漉し
うるしこし

大和(やまと)国(奈良県)の吉野川上流、吉野町国栖(くず)(国樔)や下市(しもいち)町丹生(にう)などで漉(す)かれた和紙。原料コウゾ(楮)で、非常に薄いがじょうぶなため漆精製の濾過(ろか)用に使われ、この名がある。油漉し別名もある。近松門左衛門の『心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)』(1720)に、「漆漉しほどな薄元手(もとで)」とあるように、薄さのたとえによく用いられた。最近ではコーヒーなどのフィルターにも利用され、京都府福知山(ふくちやま)市でも漆漉しの伝統を生かした和紙が抄造されている。

[町田誠之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android