朝日日本歴史人物事典 「漆部造弟麻呂」の解説
漆部造弟麻呂
奈良時代の工人。唐招提寺金堂の本尊盧舎那仏の内部に,物部広足,沙弥浄福らと共にその名が墨書され,像を制作した工人のひとりと思われる。漆部造は漆塗りに関連する伴造系の氏族で,乾漆造に習熟していた可能性がある。一方,漆部造姓を名乗る人物には,『日本書紀』用命天皇2(587)年条にみえる漆部造兄をはじめ,漆部造道麻呂や漆部造君足など,漆とは直接関係のない仕事についていた例もあり,弟麻呂も,具体的に像とどのようにかかわっていたかは不明である。なお,別系統の漆部氏に,修理長官を務めた漆部直伊波がいる。<参考文献>小林剛「漆部造弟麻呂と物部広足」(『日本彫刻作家研究』)
(浅井和春)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報