漏・洩(読み)もらす

精選版 日本国語大辞典 「漏・洩」の意味・読み・例文・類語

もら・す【漏・洩】

〘他サ五(四)〙
① もれるようにする。水や音声などを、すきまから出す。涙などを思わずこぼす。
※伊勢物語(10C前)二八「などてかくあふごかたみになりにけん水もらさじと結びしものを」
※不空羂索神呪心経寛徳二年点(1045)「便穢を泄(モラサ)ずして、牀より顛墜すること無けむ」
② 秘密やはかりごとを、うっかり、または、ひそかに他へ知らせる。
書紀(720)舒明即位前(北野本訓)「山背大兄、〈略〉是の議(はかりこと)を漏(モラシ)(き)きつ
③ 心の奥深くに思っていることを、うっかり表情などに現わす。また、感情などを、思わず外に現わす。
源氏(1001‐14頃)藤裏葉「心おごりして、すきずきしき心ばへなど、もらし給ふな」
④ 必要な事柄を、入れそこなう。落とす。抜かす。また、省く。
※書紀(720)雄略即位前(前田本訓)「是の日に大舎人 姓名を闕(モラセ)り」
⑤ とり逃がす。逸する。逃がしてしまう。
※金刀比羅本保元(1220頃か)上「一騎ももらすな、あますな。うちとれや、くみとれや」

もり【漏・洩】

〘名〙 (動詞「もる(漏)」の連用形名詞化) 水などのもること。また、それを受ける器物。もりおけ。
名語記(1275)六「雨のもり、如何。漏也」
日葡辞書(1603‐04)「Moriuo(モリヲ) ヲク」

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