名語記(読み)ミョウゴキ

デジタル大辞泉 「名語記」の意味・読み・例文・類語

みょうごき〔ミヤウゴキ〕【名語記】

鎌倉時代辞書経尊著。初稿6巻本は文永5年(1268)、増補10巻本は建治元年(1275)成立。当時の口語俗語を音節数によって分類いろは順に配列して問答体語源を説明したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「名語記」の意味・読み・例文・類語

みょうごきミャウゴキ【名語記】

  1. 鎌倉時代の辞書。全一〇巻。経尊著。初稿六巻本は文永五年(一二六八)成立。増補十巻本が、建治元年(一二七五)北条実時に献上された。現存本は著者自筆本で、巻一を欠く。「名」はほぼ体言を意味し、「語」は用言などを意味する。当時の通用語を音節数によって分類したものをさらにいろは順に配列し、問答体で語源説明を加えたもの。多くは延約、相通仮名反しをもってし、独断も多いが、品詞分類の萌芽も見え、類書先駆をなす。旧金沢文庫蔵の捺印があり、国重要文化財。

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百科事典マイペディア 「名語記」の意味・わかりやすい解説

名語記【みょうごき】

鎌倉後期の語源辞書,10帖。1268年―1275年にかけて,漸次的に成立。編者は経尊と伝えられるが,伝記不明。国宝。内容は,当時の日常語についてその語源を問答形式で説いたもの。語源解釈の原理は音通・略音などさまざまであるが,特に悉曇(しったん)音韻学の知識を応用した反音による説明が多い。語源説そのものは語史の実際にそぐわない独断的なものが大半ではあるが,品詞の種類や動詞自他に関する区別が見られ,当時の俗語が多くあげられていることとあわせて,語学資料としての価値は高い。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「名語記」の意味・わかりやすい解説

名語記
みょうごき

語源辞書。経尊 (きょうそん) 著。 10帖。初稿本を訂正増補したその成立は建治1 (1275) 年。当時の語彙を,まず音節数,次いで第2音節までイロハ順に配列し,相通,反音,延音,約音などを用いながら語源を問答体で記している。なお「名」は体言,「語」は用言をさし,ほかに「テニハ」などの名称もあり,品詞分類の萌芽がみられる。

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世界大百科事典(旧版)内の名語記の言及

【辞書】より

…異本がはなはだ多く,また古写本,古刊本も多い。このほか語源辞書の《名語記(みようごき)》10巻(経尊著。1275(建治1)成立),類書の《塵袋(ちりぶくろ)》11巻(文永~弘安期(1264‐88)ころ成立か),最古の五十音引き辞書として《温故知新書(おんこちしんしよ)》(大伴広公著,1484(文明16)成立),イロハ分類だけで意味分類のない《運歩色葉集》(1548(天文17)成立)などが現れたが,これらの中で《和玉篇》《下学集》《節用集》は最も広く行われ,江戸時代におよんだ。…

※「名語記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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