無線とじ(読み)むせんとじ(その他表記)adhesive binding;perfect binding

図書館情報学用語辞典 第5版 「無線とじ」の解説

無線とじ

糸や針金などを使わずに,接着剤だけで紙葉を接合させ冊子に綴じる低コストの製本方法で,現在の主流である.〈1〉折り丁を1冊分にそろえて背の部分を切断し,切り口が枚葉紙の状態で接着剤を塗布して背を接合させる.〈2〉折り丁の背の部分にあらかじめ切り込み加工を施して糊と紙の接触面積を増やす「網代(あじろ)とじ」,の二つの方法がある.接着剤には,加熱溶解させて使う固形の糊のホットメルト型と,常温では液状の水性エマルジョン型がある. 一般にEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)がベースに使われるが,近年,空気中の水分と反応し硬化するPUR(ポリウレタンリアクティブ)を使って強度,耐久性,広開性を高めた無線とじも実用化された.

出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の無線とじの言及

【製本】より


[仕上げ]
 このようにして全工程の終わったものを,もういちど全般的に検査し,事故がなければカバーまたはセロハン紙などをかけ,箱に入れて完成品とする。
[無線とじ]
 これは接着剤だけで背を接合するとじ方で,帖合の後に背を薄く削ぎ,そこへ接着剤を厚く塗って表紙でくるみ,固定するやり方である。最近の無線とじ製本機の進歩とビニル系化学糊の急速な発達の結果,文庫や新書などの紙表装の仮とじ本はもちろん,本製本の場合も角背本の一部に無線とじを採用するようになった。…

※「無線とじ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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