精選版 日本国語大辞典 「然有方」の意味・読み・例文・類語
さる【然有】 方(かた)
- ① そういう方面。そういう点。そのむき。
- [初出の実例]「殿をば、かたじけなけれど、さるかたに思ひ聞え給て」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上上)
- ② ( 「さるかたに」の形で ) それ相応に。それはそれとして。それはまたそれで。
- [初出の実例]「腹立ち給ふ顔やう、気近く愛敬づきて、うちそぼれたるは、さるかたにをかしく罪許されたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)常夏)
- ③ 主とする方面。それをそれとして立てる方面。
- [初出の実例]「文の道をばさるかたにて、此の方の師にせん」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上上)
- ④ しかるべき相当な方面。また、その人。
- [初出の実例]「殊なることなき人も、おのづから人にまじらひ、さるかたになれば、さてもありぬかし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)常夏)
- ⑤ ⇒連体詞「さる(然有)」