日本文法の品詞名で、自立語で活用がなく、もっぱら体言を修飾する語類をさす。「副体詞」ともいい、おもに用言を修飾する「副詞」と対立的に扱われる。
「連体詞」といわれるものの多くは、他の品詞、または単語連接から転成してきたものであるが、大別して(1)体言プラス連体助詞の系統のものと、(2)用言連体形、または用言プラス助動詞連体形の系統のものがある。(1)は、「この・その・あの・どの・例の・当の」や「我(わ)が」などがそれである。現代語では、「こ・そ」や「我(わ)」は1語としては用いられないから、「の・が」のついた形を1語とみて、「連体詞」とする。(2)は、発生的には、「ある日・去る10月・明くる年」のような動詞の連体形、「大きな(←大きなる)・いろんな(←いろいろなる)・主たる・確たる」のような形容動詞の連体形、「あらゆる人間・いわゆる上流階級・あらぬうわさ」のような動詞に助動詞連体形のついたもの、「かかる(←斯(か)くある)窮状・さる(←然(さ)ある)所」のような副詞に動詞連体形のついたものなど、種々のものが含まれる。
「連体詞」は、叙述性(主語に対応して述語になる性質)をもたないのが普通であるが、「大きな・小さな」などは、「目の大きな人」や「体の小さな男」のように叙述性を有するものもある。ただし、これらを「連体詞」から外し、連体形だけをもつ特殊な形容動詞とみる見方もある。
[山口佳紀]
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…〈私の(父)〉〈作家(志賀直哉)〉などの場合もこれに準じうる。しかし〈ある(人)〉〈この(本)〉などの修飾語は被修飾語の体言を外面的に特定化するのみであって,ここに用いられる連体詞なるものは連体修飾語たることを唯一の機能とする品詞である。 一方,連用修飾語たることを本来の機能とする品詞は副詞であるが,そのうち〈ゆっくり(歩く)〉などの状態副詞は,連用修飾語として用いられた形容詞・形容動詞(各副詞形),動詞(+助動詞・助詞)などと同様に,自らある性質・状態を表して,被修飾語である動詞の動作の様態を説明する。…
…また漢語起原のものとして敬語のゴ以外にも,不,無,未,亜,次,過などがある。しかし第,非,本,毎の類は形式的な意味限定ながらアクセントの点で独立性があり,翌,約,故などとともに連体詞とみられる。その他,新,低,広,軽など多くの漢語要素は接頭語的にしきりに用いられるが,限定のしかたが内容的で,和語のほのぼの,ういういしいなどと同様,単語の中心要素として扱うべきかと思われる。…
※「連体詞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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