精選版 日本国語大辞典 「然有物」の意味・読み・例文・類語
さる【然有】=物(もの)[=者(もの)]
- ① そのようなもの。しかるべきもの。
- [初出の実例]「あなむくつけ。なでう、さる物をかもておはする」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上下)
- ② もっともであること。当然のこと。また、それ相当の価値あるもの。
- [初出の実例]「灌仏の比、祭の比〈略〉世のあはれも、人の恋しさもまされと、人の仰せられしこそ、げにさるものなれ」(出典:徒然草(1331頃)一九)
- ③ そのような者。あんな人。
- [初出の実例]「むげにこそ思ひうんじにしか。などさる者をば置きたるとのたまふ」(出典:枕草子(10C終)八三)
- ④ それ相当の名声や地位、才能を有している人。しかるべき者。
- [初出の実例]「木曾殿の御めのと子、今井四郎兼平〈略〉さるものありとは鎌倉殿までもしろしめされたるらんぞ」(出典:平家物語(13C前)九)
- ⑤ ぬけめのない人。油断のできない人。かなりのしたたか者。
- [初出の実例]「八幡三郎、さるものにて、『おもひまうけたり。いづくへかひくべき』とて、したしき者ども十余人、こめおきたりしが」(出典:曾我物語(南北朝頃)二)