熱てんびん(読み)ねつてんびん(英語表記)thermobalance

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

物質が加熱されると普通の熱膨張以外に,酸化・還元あるいは結晶水や揮発分の蒸散による質量変化や,相転移による密度の異常変化などが現れる。これらの過程を観察する計器が熱てんびんで,てんびんの棹の一端につるした試料を電気炉で加熱しつつ,他端の平衡ばねと分銅で計量するのが原型である。棹は熱で長さが狂わないよう石英棹を用い,また秤量を安定にするために平衡ばねは粘性油に浸しておく。温度による質量変化が比較的大きい場合は分銅秤量で過程を追跡できるが,細かい変化の検出には棹の支点部に鏡を取付け,棹のわずかな傾きをランプスケールで拡大する方法を併用する。密度変化観測の場合は,アルキメデスの原理による測定を行わなければならない。それには電気炉中に適当な溶融媒質を満たしたるつぼを置き,試料をその媒質中に懸垂して上記と同様な測定を行えばよい。溶融媒質は測定温度範囲内で安定で試料と化学変化を起さないことが必要で,金属試料の場合,低温ではパラフィン類,高温では溶融塩浴 (→熱浴 ) が用いられる。最近ではばね秤や圧力ゲージを応用した連続測定自動記録式のものが多い。

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百科事典マイペディアの解説

物質を熱するとその質量が温度とともにどのように変わるかを直接測定できるようにした装置。通常,結晶水の分離,熱分解などの起こる温度の測定,および秤量(ひょうりょう)に用いられる。化学てんびんに電気炉を組み合わせた型のものが多い。
→関連項目てんびん(天秤)熱分析

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化学辞典 第2版の解説

物質を加熱して,その質量が温度上昇につれ,どのように変化するかを測定するてんびん.一般には,空気中で結晶水,そのほか揮発性成分の放出される温度範囲および量を決定するのに用いられる.床下ひょう量型と,石英でつくったスプリングバランス型がある.昇温速度,浮力(試料の量)などに注意しなくてはならない.固体試料の安定性が気体中の成分の分圧によって左右されるときは,電気炉中を通過する気体組成を変化させることが必要となる.[別用語参照]熱分析

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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