デジタル大辞泉
「一端」の意味・読み・例文・類語
いっ‐ぱし【一端】
[名]一人前。人並み。「口だけは一端のことを言う」「やっと一端の板前になった」
[副]
1 一人前に。人並みに。未熟なのに一人前のように振る舞うさまにもいう。「あれで一端専門家のつもりでいる」
2 いったん。ひとまず。
「―町の宿老へ断りたれば」〈浮・懐硯・二〉
ひと‐はし【一端】
1 一方の端。片端。いったん。
2 事柄の一部分。
「言葉の― ―にその時代おくれなことを自白していた」〈佐藤春夫・都会の憂鬱〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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いっ‐たん【一端】
- 〘 名詞 〙
- ① 物の一方の端。かたはし。⇔両端。
- [初出の実例]「中務輔相二執敕符一端一」(出典:貞観儀式(872)一〇)
- ② 事柄の一部分。⇔万端①。
- [初出の実例]「纔記二一端一。以招二衆咲一」(出典:本朝文粋(1060頃)一一・紫藤花落鳥関関詩序〈源順〉)
- 「自から政治の一端を学び得て」(出典:西洋事情(1866‐70)〈福沢諭吉〉外)
- [その他の文献]〔礼記‐祭義〕
- ③ =いったん(一反)②
- [初出の実例]「春日神四座祭 祭神料 〈略〉曝(さらし)布一端八尺」(出典:延喜式(927)一)
- ④ 神前で柏手(かしわで)を打つ回数が一回であること。
- [初出の実例]「後一同拝。手一端」(出典:内宮臨時仮殿遷宮記(1496))
一端の語誌
全体と切り離して一部を取り出すことによって、対象として当面するものに焦点をしぼる「一端」と、朝の時間を指すことによって、一時的なものを表わす「一旦」とは、原義を異にする。ところが、同一の事態に対して、当事者からは「一端」のこととして、他者からは「一旦」のこととして把握された場合、両用の表記が可能となり、中世頃から「一端」と「一旦」が原義を越えて混同した用法を生じるようになる。
いっ‐ぱし【一端】
- 〘 副詞 〙
- ① 事態が臨時、または一度きりであるさま。一旦(いったん)。ひとまず。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- ② ( まだ未熟なものが、さも一人前のように思い込んで行動するありさまをあざけりぎみにいう ) まるで一人前のようにふるまうさま。人なみに。えらそうに。
- [初出の実例]「猿田彦いっぱし神の気であるき」(出典:雑俳・柳多留‐初(1765))
- ③ ( ②のようなあざけりの気持を含めないでいう ) ひとかど。一人前。相当。かなり。
- [初出の実例]「いっはしゐわんと思ふきなれば」(出典:咄本・正直咄大鑑(1687)白)
- 「何(ど)うぞ世間の人に負けぬやうに、一ッぱしの豪(ゑら)い方に成って下され」(出典:われから(1896)〈樋口一葉〉五)
一端の補助注記
語源については「一旦」を「一端」と書き、それを重箱読みしたものかともいわれるが、未詳。
ひと‐はし【一端】
- 〘 名詞 〙
- ① 一方のはし。片端。
- ② 事柄の一部分。
- [初出の実例]「神代より継体正統のたがはせ給はぬ一はしと申さんがためなり」(出典:神皇正統記(1339‐43)中)
いち‐はな【一端・逸端】
- 〘 名詞 〙 物事の始め、または最先端。はな。
- [初出の実例]「平家追討の逸端(イチハナ)、源氏再興の始めは」(出典:浄瑠璃・頼政追善芝(1724)四)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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