片柳郷(読み)かたやなぎごう

日本歴史地名大系 「片柳郷」の解説

片柳郷
かたやなぎごう

現片柳に比定される中世の郷。片楊とも書く。建武二年(一三三五)一一月九日の橘行貞打渡状写(正木文書)に「片楊郷足立郡内」とみえ、矢野伊賀入道善久跡の同郷などが岩松経家跡代官の頼円・定順らに打渡された。これは中先代の乱で経家が鎌倉をめざす北条時行の軍勢女影おなかげ(現日高市)で迎え撃って討死したことに対する恩賞であろう。また応永二年(一三九五)閏七月五日に提出された岩松満国旧領注文(同文書)には「片柳 足立郡内当知行竜崎方」とあり、年未詳であるが室町時代初期と推定される岩松持国本領所々注文(同文書)にも「片柳村」がみえ、当郷は上野国の新田氏一族岩松氏の所領として伝領したが、一四世紀末には岩松氏の手を離れ同氏は度々その回復を図っている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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