日本歴史地名大系 「大宮市」の解説 大宮市おおみやし 面積:八九・三八平方キロ大宮台地の中南部を占め、東部に綾瀬川、西部には荒川の沖積低地が広がる。大宮台地は東から綾瀬川右岸の鳩ヶ谷支台、綾瀬川と芝(しば)川に挟まれた大和田片柳(おおわだかたやなぎ)支台、芝川と鴻沼(こうぬま)排水路(高沼排水路、切敷川)の間の大宮主台、鴨(かも)川左岸の日進与野(につしんよの)支台、荒川左岸の指扇(さしおうぎ)支台に分けられる。北は上尾市・蓮田市、東は岩槻市、南は浦和市・与野市・富士見市、西は川越市と接する。市名は大宮郷・大宮町に由来する。JR東北本線が南北に通り、市域内には大宮駅・土呂(とろ)駅・東大宮駅がある。同線は大宮駅から北西へJR高崎線、西へ同川越線を分岐し、高崎線には宮原(みやはら)駅、川越線には日進駅・指扇駅がある。高崎線にほぼ並行して国道一七号が通り、北部で新大宮バイパスが合流する。大宮駅から岩槻市・春日部市方面へ東武野田線が通る。ほかに国道一六号・同一二二号・主要地方道川口―上尾線・大宮―菖蒲(しようぶ)線・浦和―岩槻線・大宮―上福岡―所沢線などが縦横に通る。市域のほぼ中央部には氷川神社のもと境内を利用した大宮公園があり、公園内には県立博物館をはじめ、競輪場(双輪場)・野球場・体育館など各種の施設が建設されている。市域は古代から近世に至るまで足立郡に属した。〔原始〕遺跡は大宮台地の各支台に分布している。鳩ヶ谷支台には綾瀬川低地内の膝子(ひざこ)遺跡があり、縄文時代晩期の丸木舟が発掘されている。また弥生時代後期の集落跡である中里(なかざと)遺跡や膝子八幡神社遺跡がある。東宮下(ひがしみやした)からは人物埴輪や円筒埴輪が発見され、六世紀代の古墳群の存在も確認されている。大和田片柳支台には鷲山(わしやま)遺跡や高井(たかい)遺跡があり、旧石器時代のナイフ形石器をはじめ縄文時代早期初頭の撚糸文系土器が出土した。ほかに撚糸文系土器を出土した南中丸(みなみなかまる)遺跡・高台山(たかだいやま)遺跡・稲荷原(いなりはら)遺跡や御蔵台(みくらだい)遺跡がある。縄文早期末の遺跡も多く、茅山式土器を伴う竪穴住居跡と炉穴群および弥生時代末期の方形周溝墓が発見された篠山(しのやま)遺跡、早期初頭の井草式土器や早期末の茅山式土器を伴う竪穴住居跡と炉穴群が発見された八雲(やぐも)貝塚が著名である。縄文前期の海進期の遺跡も多く、貝崎(かいさき)貝塚・宮(みや)ヶ谷塔(やとう)貝塚、諸磯式土器を伴う竪穴住居跡が発掘された中川(なかがわ)貝塚などの貝塚遺跡が台地の縁辺に形成された。丸(まる)ヶ崎(さき)遺跡では後期の竪穴住居跡が発掘され、晩期の小深作(こふかさく)遺跡・東北原(ひがしきたはら)遺跡も営まれた。東北原遺跡では後・晩期の竪穴住居跡一〇軒が発掘され、大量の安行式土器をはじめ、土偶・土版・亀形土製品・石冠・石冠形土製品・土製耳飾・石棒・石錐などが出土している。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by