片泣き(読み)カタナキ

デジタル大辞泉 「片泣き」の意味・読み・例文・類語

かた‐なき【片泣き/片鳴き】

独りで泣くこと。独り泣き。一説に、半泣き、また、ひたすら泣く意とも。
朝妻避介ひか小坂をさかを―に道行く者もたぐひてぞ良き」〈仁徳紀・歌謡
不十分な鳴き方。未熟な鳴き声。
「おのづからまだ―のひな鳥のかまへがたさのよをいかにせん」〈新撰六帖・六〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「片泣き」の意味・読み・例文・類語

かた‐なき【片泣・片鳴】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一方だけ泣くこと。一人で泣くこと。ひとり泣き。
    1. [初出の実例]「下泣きに わが泣く妻 箇哆儺企(カタナキ)に わが泣く妻 今夜(こぞ)こそ 安く膚触れ」(出典:日本書紀(720)允恭二三年三月・歌謡)
  3. ( 「かた」は未熟、不完全の意 ) 半泣きに泣くこと。
    1. [初出の実例]「朝妻の 避箇の小坂を 介多那耆(カタナキ)に 道行く者も 偶ひてぞ良き」(出典:日本書紀(720)仁徳二二年正月・歌謡)
  4. ( 片鳴 ) 鳥や虫などの鳴き声が未熟で、まだ整っていないこと。片声。
    1. [初出の実例]「きりぎりすかたなきすればいもがきぬしでうちあはせこゑとなふなり」(出典:類従本賀茂女集(993‐998頃))

片泣きの補助注記

に挙げた允恭紀、仁徳紀の例は、共に、一方的に泣くこと、すなわち、ひたすら泣くことの意とする説も多い。

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