朝日日本歴史人物事典 「物部為里」の解説
物部為里
生年:生年不詳
鎌倉初期の番匠大工。東大寺大勧進俊乗坊重源 に登用され,桜島国宗と共に東大寺の伽藍再建に活躍した。大仏殿造営の功績により従五位下・伊勢権守の位官を授けられた。文治2(1186)年から建久8(1197)年まで現役であったことが確認できる。建仁3(1203)年,東大寺南大門仁王像の造像に結縁し,晩年には重源への報恩として東大寺大湯屋の湯田として私領田を寄進している。木工寮などの官工系の工匠であった可能性が大きい。のち1220~30年代に,高野山や京都の諸寺の造営・修理に名を現す伊勢権大夫物部為国は為里の系類に属す番匠と推定される。
(永井規男)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報