改訂新版 世界大百科事典 「王立ニジェール会社」の意味・わかりやすい解説
王立ニジェール会社 (おうりつニジェールかいしゃ)
Royal Niger Company
19世紀後半,西アフリカのニジェール川下流地帯においてイギリスの商業活動および領域の拡大を推進した勅許会社。この時期,ニジェール川下流地帯の交易活動は,イギリス系諸会社を合併したゴルディーGeorge Goldie(1846-1925)のナショナル・アフリカ会社が独占していた。1886年,イギリス政府はこの会社にニジェール・デルタ地帯とニジェール,ベヌエ両河沿岸地帯ならびに後背地の交易独占と統治の特権を認め,王立ニジェール会社と改称した。会社は領域内の原住民の商業活動を抑制し,北部ナイジェリアの諸土侯国を占領したが,フラニ王国は征服できなかった。フランスとの領土上・通商上の紛争,原住民の不満の増大などのため,イギリス政府は99年に特許状を返還させた。会社はニジェール会社として貿易活動を継続したが,1929年にユナイテッド・アフリカ会社に吸収合併された。
執筆者:中村 弘光
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