最新 地学事典 「田上花崗岩」の解説
たなかみかこうがん
田上花崗岩
Tanakami granite
琵琶湖南方の田上山(田神山)から,その北西部に分布する山陽帯の花崗岩体。南側は信楽花崗岩に貫入し,北東部では観音寺花崗閃緑岩に接触変成作用を与える。阿星山付近では,湖東流紋岩相当の火砕岩を捕獲する斑岩脈に貫かれる。粗粒黒雲母花崗岩を主体とし,一部で斑状相を含む。希土類元素などHFS元素に富み,著しい結晶分化作用の影響とされている。全体にわたり長石鉱床が散在し,井上平津鉱山は有名。熱水変質作用による長石質花崗岩・変質花崗岩などを採掘している。特に田上山付近を中心にペグマタイトが多産。水晶・緑柱石など多くの鉱物を産し,トパーズの美晶は世界的に有名。新鉱物の益富雲母(masutomilite, KLi(Mn, Fe)AlSi3AlO10(F, OH))が発見された。ペグマタイトのRb-Sr年代は約86Ma。黒雲母のK-Ar年代は約75~68Ma。Rb-Sr全岩アイソクロン年代は約80Ma。参考文献:亀井淳志ほか(2015)岩石鉱物科学,Vol. 44: 131
執筆者:中野 聰志・亀井 淳志
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

