真継文書(読み)まつぎもんじょ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「真継文書」の意味・わかりやすい解説

真継文書
まつぎもんじょ

戦国期から江戸時代に諸国鋳物師御蔵職(いもじみくらしき)を継承した真継家に伝来した古文書。名古屋大学文学部所蔵。天文(てんぶん)年間(1532~55)に真継久直(ひさなお)が諸国鋳物師を統轄する御蔵職を得たのちに、作成・書写・収集された古文書で、多くの偽文書(ぎもんじょ)が含まれているが、鋳物師の存在形態、その組織のあり方などを伝えており、質量ともに他に類をみない職人関係史料である。内容は、(1)戦国期の久直の活動に関するもの。(2)江戸幕府が真継家の鋳物師支配権を公認する過程において作成されたもの。(3)元禄(げんろく)期(1688~1704)以降の真継家の鋳物師支配に関するもの。(4)文化(ぶんか)期(1804~18)以降の真継家が、諸国鋳物師の伝来文書を書写・収集したものに分けられる。中世関係古文書は、『中世鋳物師史料』として刊行

[鈴木敦子]

『名古屋大学文学部国史研究室編『中世鋳物師史料』(1982・法政大学出版局)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の真継文書の言及

【真継家】より

…以後,これを受け継いだ矩弘,〈由緒正印〉の朱印を使った量弘,〈禁裏諸司〉の肩書を付した康寧など,鋳物師に対する真継家の支配は天皇を背景にいっそう権威的になっていったが,則能のあとを継いだ能弘の発給した1870年(明治3)の許状を最後に,真継家の鋳物師支配はその実質を失った。
[真継文書]
 真継家は久直以来の鋳物師支配,地下官人としての活動にかかわる明治初年までの多くの文書,典籍を伝えており,その中には各地の鋳物師の所蔵した中世文書の写しも多く,これらは鋳物師の組織,下級公家の実態の研究に資するところ大である。そのほとんどすべては,楠家の手を経て名古屋大学文学部の所蔵となり,中世文書は同学部国史研究室編《中世鋳物師史料》として刊行されている。…

※「真継文書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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