デジタル大辞泉
「天文」の意味・読み・例文・類語
てん‐もん【天文】
1 天体に起こるさまざまな現象。
2 天空に起こるさまざまな現象を見て吉凶を占うこと。また、その術。
「―は淵源をきはめ、推条掌をさすが如し」〈平家・三〉
[類語]天象
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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てん‐もん【天文】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 日月星辰の運行や、雨、風、雪、雷など天空に起こるさまざまな現象。てんぶん。
- [初出の実例]「天文(テムモム)悉くに乱れて星隕つること雨の如し」(出典:日本書紀(720)天武一三年一一月(北野本訓))
- [その他の文献]〔易経‐賁卦〕
- ② 日月星辰などの運行や位置、また距離などを見て吉凶を占ったり、暦法を考えたりすること。また、その術やそれをする人。
- [初出の実例]「時有二新羅僧行心一、解二天文卜筮一」(出典:懐風藻(751)大津皇子伝)
- 「天文の者、七月七日に参て、天皇に奏しける様」(出典:今昔物語集(1120頃か)一〇)
- [ 2 ] ⇒てんぶん(天文)
てん‐ぶん【天文】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙 =てんもん(天文)[ 一 ]
- [初出の実例]「天ふんをかんがへ申やう〈略〉二つのめい月南なるは、正じんの月りんにて候」(出典:浄瑠璃・源氏の由来(1659)初)
- [ 2 ] 戦国時代、後奈良天皇の代の年号。享祿五年(一五三二)七月二九日に連年の戦乱のため改元、天文二四年(一五五五)一〇月二三日に弘治元年となる。将軍は足利義晴、義輝。出典は「易経‐繋辞上」の「仰以観二於天文一、俯以察二於地理一」。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「天文」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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てんぶん【天文】
日本の元号(年号)。室町時代(戦国時代)の1532年から1555年まで、後奈良(ごなら)天皇の代の元号。前元号は享禄(きょうろく)。次元号は弘治(こうじ)。1532年(享禄5)7月29日改元。兵革(戦乱)の凶事を断ち切るために行われた(災異改元)。『周易(しゅうえき)』(『易経(えききょう)』)を出典とする命名。天文年間の室町幕府の将軍は足利義晴(よしはる)(12代)、足利義輝(よしてる)(13代)。1541年(天文10)、武田晴信(はるのぶ)(後の武田信玄(しんげん))は甲斐国守護の父武田信虎(のぶとら)を駿河国に追放して家督を相続し、信濃国への侵攻を開始した。1546年(天文15)には、将軍の足利義晴が細川晴元との戦いに敗れて近江坂本に避難し、嫡男の義輝に将軍職を譲った。義晴は、1550年(天文19)に近江穴太(あのう)で客死している。1548年(天文17)には長尾景虎(かげとら)(後の上杉謙信(けんしん))が家督を相続し、春日山(かすがやま)城に入城している。1555年(弘治1)には、毛利元就(もとなり)が安芸国の厳島で陶晴賢(すえはるかた)の大軍を破り、大内氏の旧領を併合して戦国大名としての地位を確立した。なお、1543年(天文12)にはポルトガル商人が種子島に漂着して鉄砲が伝来した(1542年伝来説もある)。◇「てんもん」とも読む。
てんもん【天文】
出典 講談社日本の元号がわかる事典について 情報
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天文 (てんもん)
tiān wén
中国で古くから用いられた概念で,今日の天文学,天文現象などの用語の起源をなす。《易経》賁の卦に〈天文を観て以て時の変を察す〉,また《易経》繫辞伝に〈仰いで以て天文を観,俯して以て地理を察す。是の故に幽明の故(こ)を知る〉とあるのにもとづく。宇宙空間に存在する日月星辰は一定の秩序にしたがって運行しつつ時々刻々変化の相を表す。人間はこのような〈天の文様〉のなかから,国家や個人の運命に関する啓示を読みとることができるとされる。ここから天文観察は政治の一環として発達した。《史記》天官書以来歴代の正史が〈天文志〉〈天象志〉などをそなえるのは,そのためである。天文の範囲には天体だけでなく,風,雲,雨,雪,雷など地表の気象も含まれる。
→人文
執筆者:谷川 道雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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