石屋形(読み)いしやかた

日本歴史地名大系 「石屋形」の解説

石屋形
いしやかた

[現在地名]美祢市豊田前町麻生上 石屋形

麻生上あそうかみの北、於福の下田代おふくのしもたしろにほど近い山間部にある集落。

「地下上申」には、もと石楠しやくなげ村と称したとあり、当地の羅漢らかん山に家の形をした石があったことによる名という。

幕末の豊浦藩明細書には「麻生上村石屋形共」として高付されており、同書には石屋形分の田は一六七石余、畠は一二石余と記される。

羅漢山は小山であるが、その頂上には屏風状の巨石がコの字形に立ち並んでおり、表面に五体の磨崖仏が線刻されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の石屋形の言及

【石室】より

…入口の閉塞には板石や塊石を用い,再び開くことが可能となっている。棺は石棺,木棺,陶棺等を用いるが,九州などでは板石で室内を区切る石障(せきしよう),石屋形(いしやかた),屍床などと呼ばれる施設が発達し,その場合は棺を用いなかったらしい。また,玄室の前に小室を設け複室とする例もある。…

【装飾古墳】より

…これにも熊本県長砂連(ながざれ)古墳のように,直弧文を浮彫したものと,熊本県井寺(いでら)古墳のように,直弧文を線刻したものとがある。後者には同心円の文様もまじえているが,熊本県千金甲(せごんこう)1号墳では,同心円と靫(ゆき)とを用い,千金甲3号墳では,石障ではなく,石屋形(いしやかた)(石室奥壁に接して組み立てられた安置施設)に同心円,靫,大刀(たち),舟などを線刻したものに変化している。なお,彫刻とのみ記したが,以上の諸例においては,その上に,赤1色または赤,白,青などの,鉱物質顔料を用いた彩色を施している。…

※「石屋形」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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