地表面に露出した新鮮な岩石が原位置で風雨にさらされて、しだいに変質していくこと。変質を進める働きを風化作用という。風化は物理的または機械的風化作用、化学的風化、生物的風化などに分ける。
(1)物理的風化作用 主として、温度変化に伴う造岩鉱物の差別的膨張や収縮と水の凍結による体積膨張で破壊がおこること。岩石はいくつかの造岩鉱物の集合体で、おのおのの鉱物は熱伝導率が異なり、熱膨張係数も異なる。岩石は強烈な日射の下では表面が熱せられて熱勾配(こうばい)が大になり、熱応力が生ずる。加熱冷却が繰り返されると熱疲労破壊が生じて表面からタマネギの皮をむくように岩片がはがれる。これを剥脱作用(はくだつさよう)、または剥離作用(はくりさよう)、鱗脱作用(りんだつさよう)(エクスフォリエーションexfoliation)などという。剥脱作用によって、タマネギ状構造とよばれる同心円状の風化節理の発達した剥離面を生ずる。ときには山火事などによっても剥脱作用がおこると考えられている。砂漠のように日中と夜間とで極端に気温が変化する所では、長期間の温度変化が岩石内部に疲労をもたらし、最終的には岩石を破砕すると考えられてきた。温度変化は日射によってもたらされるので日射風化、熱的風化などともいう。寒冷地では気温が氷点付近を昇降することにより、岩石中のすきまや割れ目を満たしている水が凍結、融解を繰り返す。この繰り返し効果が岩石の凍結破砕作用に重要と考えられている。以前は岩石中の水が凍結膨張して岩石が破砕されると説明されていたが、体積膨張による破砕がおこるためには水が飽和していなければならない。最近では未飽和でも岩石内に破砕力の働くことが知られている。泥岩や頁(けつ)岩のような細かい粒子からなる岩石では、吸湿乾燥によるスレーキングslakingとよばれる弛緩作用(しかんさよう)がおこる。乾燥地域では、地中から蒸発に伴って塩分が析出して地表面付近で結晶化し、岩石を崩壊させる。この現象を風解または塩類風化という。
(2)化学的風化作用 大気または水、あるいは両者の共同作用によって地表面および地表近くの岩石、鉱物を化学的に変質させること。水、酸素、炭酸ガス、窒素酸化物などの水溶液が岩石に接触し、溶解、酸化、加水分解、水和イオン交換などを行う。溶解は一般に化学的風化の最初の段階である。ケイ酸からなる石英はもっとも安定した、すなわち風化作用を受けにくい鉱物とされているが、それでも多少は水に溶ける。無機酸や有機酸を含んだ水は溶解能力が大きい。炭酸塩鉱物は炭酸ガスを含む水に溶ける。大気中の炭酸ガスは雨水に溶けて炭酸となり岩石を分解する。炭酸カルシウムからなる石灰岩は、炭酸ガスを含む水に溶けて水素炭酸カルシウムをつくり、カルスト地形を生ずる原因となる。酸化作用は風化のもっともありふれた形式の一つで、自然界における酸化剤である。岩石中の鉄やマンガン鉱物が酸化を受けやすく、鉄は水酸化鉄の水和物となって表面は赤褐色を呈し、硫化物は酸化で硫酸塩となる。鉱物などに水が付加しこれによって体積が膨張する水和作用は、粘土鉱物の生成に重要な役割を果たす。赤鉄鉱が水と化合して褐鉄鉱となり、ケイ酸塩が水と化合して陶土、蛇紋石、沸石などをつくる。この作用は高温多湿な地域で卓越する。水につかった鉱物中のナトリウムやカリウムイオンは水中の水素イオンとのイオン交換を行い、加水分解がおこる。
(3)生物的風化作用 生物的風化は物理的にも化学的にも作用する。土壌中のバクテリアのなかには硫黄(いおう)、鉄などを酸化させる働きをもつものがある。動植物の呼吸作用は炭酸ガスの増加をもたらす。植物体が枯れて有機酸を生じると岩石を分解する。植物の根が岩石の割れ目を拡大して徐々に破壊する例として石割りの松がよく例に出されるが、疑問視する説もある。物理的風化と化学的風化は並行して作用するが、高温多湿な地域では化学的風化が優勢で、乾燥地域や寒帯では物理的風化が卓越する。また、人間活動による風化も無視できない。
[髙山茂美]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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