〈人々から尊敬・布施をうける資格のある人〉の意で,悟りをひらいた高僧を指す。サンスクリットのアルハットarhatの主格アルハンarhanの音訳〈阿羅漢〉の略称。応供と意訳する。釈迦の直弟子のうち高位のものはみな阿羅漢で,舎利弗(しやりほつ),目連(もくれん),迦葉(かしよう)などがいる。阿羅漢をまとめ,十六羅漢や五百羅漢に対する信仰も生じた。小乗仏教においては,阿羅漢は仏弟子の到達する最高の階位とされ,これ以上修すべきものがないという意味で無学ともいう。しかし,大乗仏教が興ると,自己の悟りのみを目ざす阿羅漢は卑しめられて,衆生の救済を目ざす菩薩の下におかれるようになった。
→五百羅漢 →羅漢図
執筆者:定方 晟
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…人口1万2420(1995)。西は山口県に接し,中国山地脊梁部の鬼ヶ城山,羅漢山,大峰山などに囲まれ,瀬戸内海に注ぐ小瀬(おぜ)川の上流域を占める。中心集落の津田は,近世,山陽道の廿日市宿から石見(いわみ)へ向かう石見津和野路の宿駅として栄えた。…
…500人の羅漢およびその群像。十六羅漢という呼称もある。…
…経量部の種子説,大衆部の根本識,化地部の窮生死蘊などは,この問題意識から生じたもので,このうち経量部の種子説は,後の大乗の唯識説の主張する阿頼耶識(アーラヤビジュニャーナālayavijñāna)の先駆思想と考えられている。 〈涅槃寂静〉に関して小乗論師たちは,涅槃とは何か,釈迦の本質は何か,一般修行者の究極的到達点である阿羅漢(羅漢)の境地とは何か,涅槃に至る過程は何か,などの点について詳細に研究し,その思索を発展せしめた。 小乗仏教は釈尊の教えに忠実ならんと試みたが,その結果は出家中心主義になり,大乗仏教の興起をうながしたのである。…
…この段階を修道(しゆどう)という。修行の完成者は阿羅漢(羅漢)と呼ばれる。阿羅漢は元来,仏の異称で,供養をうけるに値する者の意であるが,伝統的部派仏教では弟子たちの完成位の名として,仏とは区別した。…
…釈迦―十大弟子―各宗の祖師―弟子への系譜を,禅宗や密教で血脈(けちみやく)と称するゆえんもここにある。この系列の美術に羅漢像や祖師像などの肖像や,僧侶自身の墨跡がある。また僧によって仏事を営むための仏具,供養具,梵音具,芸能具も多岐にわたり,僧侶の生活用具も重視された。…
…ところで,儒教に対立した老荘の思想は,仏教伝来後にむしろ隆盛し,2世紀の半ばを過ぎると老子は神格化されていくが,他方では仏教に老荘思想が影響を与えて禅宗をつくったといえる。大乗仏教が軽視した羅漢は,禅宗の中で中国古来の道士の風貌を備えて勢いを得るようになり,すべての羅漢が巨大な耳たぶをもって表された。 このように古代中国の風土になれた仏像が入ってきたのだから,日本の仏像も同じように豊かな耳たぶをもった。…
※「羅漢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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