知恵蔵 「石川遼」の解説
石川遼
91年9月17日、埼玉県北葛飾郡松伏町生まれ、東京・杉並学院高校3年生。父親の勝美さんの影響で6歳からゴルフを始め、松伏町立松伏第二中学校では陸上部の短距離選手。アマチュア時代の高校1年生のときマンシングウェアオープンKBCカップで初優勝。09年は国内ツアー24試合に出場して、ミズノオープンよみうりクラシックを始めサン・クロレラクラシック、フジサンケイクラシック、コカ・コーラ東海クラシックの4大会に優勝。海外でもマスターズ、全英オープン、全米プロなど8試合に出場するなど精力的に活動した。デビュー以来国内ツアー6勝(関西オープンは当時後援競技)。
思い切りのいいスイングで飛ばし屋のイメージが強いが、今年の好成績は小技が冴(さ)えていた。ドライビングディスタンスは292.37で9位、フェアウエーキープ率は50位にも入っていないのに、バーディー率は4.42、平均パットも1.7235、平均ストロークは69.93といずれも1位。進境著しいのは100ヤード~130ヤードのアプローチの距離感。52度のウエッジとピッチングと9番アイアンを使って巧みにスピン量をかけ分ける。ロブショットも多用するが、これらは海外での試合から覚えたと思われる。
素直な性格だがゴルフに関しては頑固者、どこまでも攻めの姿勢にこだわる。得意のドライバーを使って飛距離で試合を有利に展開しようとする。ミスしても飛躍への糧と受け止める前向きさ、切り替えのはやさ、さらに行き届いた周囲への気配りは、とても18歳とは思えない。垢(あか)抜けたファッションとともに石川の人気の原点だろう。石川の活躍で各トーナメントの観客数は飛躍的に伸び、彼より年下のゴルファーも石川人気に触発されて次々と頭角を現してきている。東京運動記者クラブゴルフ分科会選出の09年度MVPに選ばれた。家族は両親と妹弟の4人。
(岡田忠 スポーツジャーナリスト / 2009年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報