化学辞典 第2版 「石炭の元素分析」の解説
石炭の元素分析
セキタンノゲンソブンセキ
elementary analysis of coal
石炭に含まれる炭素,水素,窒素,硫黄,酸素を分析する方法.一般には,石炭の工業分析で求めた水分と灰分を除いた無水・無灰基準(dry ash-free;daf)の質量百分率(質量%(daf))で表す.実際には,空気中室温で乾燥した石炭試料を高温で燃焼して,生成したガスの分析から酸素を除く4元素を定量し,これらの合計を100% より差し引いて酸素を算出する.この元素分析法は,コークスやチャーにも適用される.JIS規格では,灰中の硫黄や,石炭中のリンならびに炭酸塩由来の二酸化炭素も分析する.炭素は石炭中の主要元素で,おおよそ60~95質量%(daf)の範囲にあり,ついで,酸素が5~30質量%(daf),水素が4~5質量%(daf)である.水素と炭素の原子比や,酸素と炭素の原子比は,石炭の化学構造や性状を知るうえで大切である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報