硫酸鉄線量計(読み)リュウサンテツセンリョウケイ

化学辞典 第2版 「硫酸鉄線量計」の解説

硫酸鉄(Ⅱ)線量計
リュウサンテツセンリョウケイ
iron(Ⅱ) sulfate dosimeter

フリッケ線量計ともいう.現在,もっとも広く一般に用いられている化学線量計硫酸鉄(Ⅱ)の空気飽和0.4 mol L-1 硫酸溶液で,放射線照射による Fe2+→ Fe3+酸化を利用するものである.この酸化のG値は1 MeV 前後のγ線X線,電子線に対して15.5で,通常用いられる最高の線量率でもG値は不変である.液の調製の一例をあげると,2 g のFeSO4・7H2OまたはFe(NH4)2(SO4)2・6H2O,0.3 g の塩化ナトリウム,110 mL濃硫酸を十分に精製した水に溶かして5 L の溶液とする.このとき加える塩化ナトリウムは,水のなかになお残存する微量の有機物の酸化促進作用を抑制するためである.この溶液を試料と同じ容器に同体積入れて所定位置で一定時間照射し,Fe3+吸収スペクトル極大がある302~305 nm での光学密度光電分光光度計を用いて照射前後で測定して,照射後,生成した Fe3+ を分光的に定量する.なお,硫酸鉄(Ⅱ)線量計のG(Fe3+)の値は,多種類の放射線について測定されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android