社会保障番号(読み)しゃかいほしょうばんごう

知恵蔵 「社会保障番号」の解説

社会保障番号

大量の年金記録漏れが政治問題と化した2007年6月14日に、安倍首相は参議院厚生労働委員会で、社会保障番号の導入を早急に検討するとした。社会保障番号とは、年金、健康保険、介護保険、労働保険といった社会保障制度に関する被保険者の資格、給付等についての情報を、統一した番号の下で一元的に管理しようとするものである。社会保障番号制度については、これまでも度々政府の検討対象とされてきた。小泉政権時代の01年と06年の「骨太の方針」においても導入を検討するとされた。保険制度間で異なる番号を統一すれば、1つの番号で保険料の納付記録や給付実績が把握できる利点がある。ただし、特に健康保険、介護保険については、病歴などの他人に知られたくない個人情報が多数含まれる。また、政府の社会保障番号導入の背後には、これを納税者番号としても活用しようとする意図もみえる。それだけに、管理社会の進行や個人情報の漏えい、番号の盗用による各種の犯罪の発生を危惧(きぐ)する声も強い。

(新藤宗幸 千葉大学法経学部教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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