給付(読み)きゅうふ

日本大百科全書(ニッポニカ)「給付」の解説

給付
きゅうふ

私法上、債権の目的となる債務者のすべき行為をさす(民法406条・537条1項、供託法10条ほか)。たとえば、り主が目的物を引き渡し、被用者が労務を提供することがそれである。これに対し、い主が代金を支払い、雇い主が賃金を支払うことは反対給付とよばれる。給付の内容は、金銭その他の物の交付である場合(民法689条ほか)もあれば、療養の給付(健康保険法59条)などのように役務の提供である場合もある。給付はその性質に応じて、作為(積極的)給付と不作為(消極的)給付、可分給付不可分給付、特定給付と不特定給付、継続的給付と一時的給付などに区分され、それぞれ法律上の扱いは異なる。

[川井 健]

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デジタル大辞泉「給付」の解説

きゅう‐ふ〔キフ‐〕【給付】

[名](スル)
金品を支給・交付すること。「従業員に制服を給付する」
債務者債務の内容、および、それを履行する行為。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「給付」の解説

給付
きゅうふ
Leistung

債権の目的である債務者の行為をさす。たとえば,売主買主に対して目的物を引渡す行為や買主が売主に対して売買代金を支払う行為などがこれにあたる。一つの財貨として客観的存在物とみる観念であり,行為をすること自体を意味する弁済と異なる。給付が可分であるかどうかによる可分給付と不可分給付,また1回で終了するかどうかによる一回的給付と回帰的給付,他の物によって替えることができるかどうかによる代替給付と不代替給付などの区別がある。

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精選版 日本国語大辞典「給付」の解説

きゅう‐ふ キフ‥【給付】

〘名〙
① 物品、また金銭を支給、交付すること。「補助金を給付する」 〔容斎三筆‐九巻・僧道科目〕
② 債権の目的となっている債務者のしなければならない行為。その性質に応じて、作為(積極的)給付と不作為(消極的)給付、可分給付と不可分給付、継続的給付と一時的給付などに分けられる。
※民法(明治二九年)(1896)四〇六条「債権の目的が数個の給付中選択に依りて定まるべきときは」

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百科事典マイペディア「給付」の解説

給付【きゅうふ】

私法上,広義には債権に限らず請求権の目的である義務者の行為をいうこともあるが,普通には債権の目的である債務者の行為をいう。給付はいろいろな観点から,特定物給付・不特定物給付,可分給付・不可分給付,作為給付不作為給付などに分類される。
→関連項目債務支払督促双務契約代物弁済直接強制弁済命令連帯債務

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世界大百科事典 第2版「給付」の解説

きゅうふ【給付 Leistung[ドイツ]】

物の買主が売主に代金を支払ったり,雇われた人が約束どおり働いたりするように,債務者が法律上しなければならないことをいう。法律的にいえば,債務の目的(内容)である債務者の行為を指すことになる。買主の給付に対し売主が売買目的物を買主に引き渡すべき給付を反対給付という。給付は,積極的に債務者が一定の行為をする作為給付だけでなく,境界線から1m内には建物を建築しないというような,一定の行為をしない不作為給付をも含む。

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世界大百科事典内の給付の言及

【種類債権】より

…他の物と区別さるべき一定の性質を有する物(種類物)の一定数量の給付を目的とする債権。種類債権は不特定物債権ともいわれ,特定物債権と対置される。…

※「給付」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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