神賤(読み)しんせん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神賤」の意味・わかりやすい解説

神賤
しんせん

神奴 (しんど,かみのやっこ) ともいう。律令時代神社に隷属し,労役に服した賤民で,良民との結婚居住などに自由がなかった。鹿島神宮史料にそれをみるが,平安時代以降は跡を絶った。

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世界大百科事典(旧版)内の神賤の言及

【神人】より

…平安時代末期から室町時代末期にかけての荘園制社会において,さかんに活動した神社の下級神職者や寄人(よりうど)と呼ばれた人をさす。奈良時代に律令制の身分制度で〈神奴(しんど∥かみやつこ)〉〈神賤(しんせん)〉とされ,神社に隷属して領地田畠の耕作,調度品の製造,社域内の清掃をはじめとする雑役を務めた賤民の系譜をひくものとみられている。神主職,宮司職の配下に置かれ,種々の任務・職掌をそれぞれの伝統・習慣に応じて分担したが,神社組織での本末関係(本社と各末社との関係)により,本社に常勤奉仕する神人を〈本社神人〉,各地の末社を中核とする社領荘園に散在し,寄人として末社の任務に従事した神人を〈散在神人〉と称した。…

【賤民】より

…また,賤民を解放して良民とすることを放賤従良といった。私有賤民は,一般の公民も所有する場合があるが,大量に所有するのは貴族・豪族や寺社であり,それらは氏賤,寺賤,神賤とも称された。奴の和訓はヤツコで家の子の意味であり(臣・妾・賤もヤツコと訓じる場合があった),私有賤民が貴族・豪族や寺社の譜第隷属民であったことを示している。…

※「神賤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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