改訂新版 世界大百科事典 「秩父学園」の意味・わかりやすい解説
秩父学園 (ちちぶがくえん)
正称は国立秩父学園。精神薄弱児(精神発達遅滞児)施設は公・私立のものをあわせて全国で295ヵ所(1995年3月現在)に及ぶが,秩父学園は唯一の国立精神薄弱児施設である。1958年,埼玉県所沢市に設置された。一般の施設では扱うことが困難な重度の精神薄弱児および盲目もしくは聾啞である精神薄弱児を収容して,保護指導・育成するとともに,あわせて全国の精神薄弱児施設における児童の保護および指導の向上に寄与することを目的として,厚生省設置法に基づき開設された。入所者定員125名が五つの寮に分かれて生活し,日常行動の観察,必要な医学的・心理学的検査をうけ,総合的な判断のもとに,保護,指導,治療,訓練が行われる。また国立秩父学園付属保護指導職員養成所が併設され,精神薄弱児福祉事業に従事しようとする者に対しその基礎的な理論および技術を習得させるとともに,現に精神薄弱関係施設に勤務している職員に対する研修も行っている。
執筆者:永田 幹夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報