童心主義(読み)どうしんしゅぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「童心主義」の意味・わかりやすい解説

童心主義
どうしんしゅぎ

子供のもつ自由な感受性や鋭い直観力、豊かな空想力などを尊重し、童心の世界を絶対的な理想の世界とみる児童観および児童芸術観。第一次世界大戦後の『赤い鳥』を中心とする童話童謡時代におこった思想で、「いかなる成人たりとも……童心を失ひ得るものではない」(北原白秋)、「『童話』は……子供の心を失はないすべての人類に向つての文学である」(小川未明)などのことばから「童心主義」という呼称が生まれた。この提唱によって、大人の鑑賞に耐えうる優れた童話童謡が出現したが、同時に子供の興味をひかない懐古的耽美(たんび)的作品も現れた。

[西田良子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android