朝日日本歴史人物事典 「笛彦兵衛」の解説
笛彦兵衛
室町時代の笛役者。前名は檜垣本彦四郎栄次,享禄2(1529)年以降彦兵衛と改める。観世座笛役者の名人日吉左衛門尉国之を師とする。細川澄元の後援のもとに永正17(1520)年以前から活躍しており,天文8(1539)年までの活動の記録がみえる。金春禅鳳の芸談『禅鳳雑談』には「笛もひこ四良上手」とあって,当時の名人として他流からも高い評価を受けていたようである。弟子に与えたいくつかの伝書のなかには,朝倉敏景の甥の景職に相伝したというもの(『遊舞集』)も含まれており,朝倉氏と密接な関係があったことを窺わせる。
(石井倫子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報