日本歴史地名大系 「筥の渡」の解説 筥の渡はこのわたし 福井県:勝山市大渡村筥の渡大渡(おおわたり)村と九頭竜(くずりゆう)川の対岸下荒井(しもあらい)村とをつなぐ渡し。「元亨釈書」に記す泰澄和尚伝のもととなったと推定される「泰澄和尚伝記」に「大野隈笞川東伊野原」とみえ、九頭竜川を筥川とよんだことがあったらしく、これから「筥の渡」の称が生れたと推定される。「太平記」巻一一「越前牛原地頭自害事」の条に平泉(へいせん)寺の「衆徒箱ノ渡ヲ打越」とみえるので当時すでに渡場として著名であったのであろう。大永四年(一五二四)一〇月三日の臨時之祭礼入用之帳(平泉寺文書)に、「三貫文 渡守 大わたり、こふなと、なるか」とある大わたりはこの筥の渡をさし、小舟渡、鳴鹿の渡(現吉田郡永平寺町)とともに重要視され、「大渡」ともよばれたものと思われる。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by