朝日日本歴史人物事典 「紀伊国屋源兵衛」の解説
紀伊国屋源兵衛
江戸中期の豪商で米取引業者。江戸本材木町(東京都中央区)に住む。享保10(1725)年大坂屋利右衛門,野村屋甚兵衛と3人で出願して,大坂に御為替米御用会所を設立し,買米を行ったが,不振となって廃止された。幕府が享保期(1716~36)低落した米価の引き上げ策として,源兵衛らに許可したもので,享保期の幕府の米価政策に重要な役割を果たした。当時の御城米の買い取りや販売,米切手の売買などを行い,幕府に冥加金を納め,残りが利益として分配されていたが,源兵衛の詳細な営業はわからない。<参考文献>土肥鑑高『近世米穀金融史の研究』,同『近世米穀流通史の研究』
(中田易直)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報