紙幣インフレーション(読み)しへいインフレーション(その他表記)paper money inflation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「紙幣インフレーション」の意味・わかりやすい解説

紙幣インフレーション
しへいインフレーション
paper money inflation

不換紙幣が商品流通に必要とされる以上に増発されることによって起るインフレーションで,マルクス経済学では本来の意味のインフレーションとされている。紙幣は政府により強制通用力を与えられて流通するが,それは本来の貨幣=金の流通手段としての機能を代理する役割を果すにすぎない。すなわち紙幣は流通過程において,そのかわりに流通すべき金分量の単なる章表であるから,紙幣流通量が流通必要金量をこえると,1枚の紙幣が代表していた金分量は以前より減少し,一般商品価格はこの代表金分量の減少による紙幣の減価分だけ騰貴し,紙幣インフレーションが発生する。ただし紙幣が兌換紙幣の場合には紙幣が減価すると金に兌換され,紙幣流通量が減少して紙幣価値が維持されるから,このような現象は発生しない。フランス革命政府の発行したアッシニア紙幣や西南戦争後の明治政府紙幣によるインフレーションは,政府紙幣の乱発による典型的な紙幣インフレーションである。第1,2次両世界大戦時に各国で発生した超インフレーションのように,紙幣化した不換銀行券の大増発により起るインフレーションも紙幣インフレーションの一形態とされている。

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