日本大百科全書(ニッポニカ) 「経済付加価値」の意味・わかりやすい解説
経済付加価値
けいざいふかかち
株主の満足度を計る尺度。企業があげた営業利益から権利関係者に支払うコストを差し引き、なお利益が残れば経済付加価値はプラス(黒字)と評価される。ここでいうコストとは、税金、借入金利や社債利息など負債コスト、および株主の期待収益のこと。債権者に比べ保護策が弱い株主の期待利益は当然大きい。この高いハードルを越えてなお黒字を出して、初めて株主重視の経営をしているといえる。株式の投資尺度としても存在感を増しており、収益力を強化した結果として経済付加価値が高いと株価が上昇し、M&A(企業の合併・買収)など再編戦略をさらに容易にする、という好循環をよぶ。なお、欧文でEVA(Economic Value Added)と表記されるが、これはアメリカのスタン・スチュワート社Stern Stewart & Co.の登録商標である。
[原 正輝]
『佐藤紘光・飯泉清・齋藤正章著『株主価値を高めるEVA経営』第2版(2008・中央経済社)』