改訂新版 世界大百科事典 「羅府新報」の意味・わかりやすい解説
羅府新報 (らふしんぽう)
L.A.Japan Daily News
アメリカ,ロサンゼルス発行の日系新聞。1903年4月,山口正治,渋谷清次郎,飯島栄太郎の共同経営で創刊された(当初ミメオグラフ,同年11月3日より活版)。経営者は幾度か交替したが,08年10月株式会社に改組された。10年前後から報道第一主義に徹し日系コミュニティの代表紙として地位を確立する。歴代社主は編集にはほとんど干渉しない伝統があり,一種の〈編集権の独立〉がみられた。26年には第2次大戦前では最高の部数約8500部に達する。42年4月3日,すでに日米開戦時に社長駒井豊策が抑留されていたが,太平洋岸日系人の強制移転で休刊に追い込まれる(最終号は3月30日)。同紙は輪転印刷機,活字その他の資材を社内に保存していたため再刊も早く,46年元旦には復刊第1号を出している。日本語の読める読者の数は毎年減ってはいるが(新聞の英文欄は戦前から存在),現在も代表的な日系新聞である。
→邦字新聞
執筆者:香内 三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報